「一部の金持ちが世界の富の半分を持っている」という不毛な議論


皆さんは、世界の富の半分を、上位62人の富豪が所有しているという話を聞いたことがあるでしょうか?

これは、オックスファムという国際支援団体が発表し、数年前にセンセーショナルなニュースとして世間に流れました。

このオックスファムのレポート以前から、世界は一部の富裕層が回している、資本主義が極端な格差社会を生んでいるといった主張はよくされていました。

だから、増税して、貧困層へ積極的に富を再分配すべきだという主張する人もいます。しかし、実はこの主張は貧困をさらに悪化させる結果をもたらします。

誰が金持ちの資産を使っているのか?

皆さんは資産をどこに保管しているでしょうか?タンスに保管しているという人もいるでしょうが、ほとんどの人は金融機関、要するに銀行にお金を預けています。

では、金融機関は皆さんからお金を預かって、それを何に使っているのでしょうか?金融機関は貸し付けや投資などを通じて、皆さんから預かったお金を第三者に使わせているのです。

つまり、ここでのポイントは資産の保有者は必ずしも利用者ではないということです。また、金融機関という媒介を通じて、お金の流れが発生することで、人々の経済活動、ひいては社会全体が発展しているという点も重要です。

こうして、金持ちの資産は第三者によって利用され、結果として金持ちも第三者も資産が増えるという仕組みになっているわけです。

資産は保有者ではなく、利用者がもっと重要

ですから、社会の発展においてもっと議論すべきことは、保有者ではなく利用者です。そして、資本主義において資産の利用は、社会の発展につながる方向で機能します。

例えば、マクドナルドのようなファーストフードは日本全国にあります。こういったサービスを富裕層が作り上げるわけですが、このサービス自体は富裕層のためではなく、普通の人や貧困層のために存在します。

つまり、資本主義においては、富裕層が積極的に貧困層や一般人の生活の改善に投資することによって、自らも利益を得るという仕組みが確立されています。

資本主義が機能しない地域に、貧困層の大半が住んでいる

これまでの説明を読んでいただければ分かると思いますが、資本主義によって貧困層が生まれているのではなく、資本主義が機能しないことによって貧困層が生まれているのです。

北朝鮮と大韓民国の、一般人の生活水準を比べてみれば、その違いは明らかでしょう。結局、一部の権力者が国民の生活改善にお金を回すことなく、武力によって支配し続けることで、貧困層は生み出されているのです。

先進国がいくら開発援助でお金を支援しても、この構造的な問題が解決されない限り、貧困層がなくなることはありません。

資本主義・自由市場の経済体制であれば、中長期的には人々の生活環境は改善され、社会が発展していくでしょう。逆に、政府が強い権力を持った社会では、これらの発展が阻害され、結果的に権力者のための国家とならざるおえません。

資本主義を悪者にするのはやめよう

金持ちが資産を保有しているという事実は、社会を発展させたり、貧困層の生活を改善させる上では、何の意味も持ちません。

それよりも、いかにして自由市場を拡大し、富裕層と貧困層を経済的につないでいくかを考えるべきです。

権力者によって、資本主義や自由市場にアクセスすることができない労働力こそが、問題視され、議論されるべき資産なのです。

一部の金持ちに富が集まっているからと言って、安易に資本主義を悪者にすることはやめましょう。大切なことは、必要な人に必要なお金が使われているかどうかなのです。