「新しい時代を見据えて 広い視野で幅広く地域に貢献した依田佐二平」


黒船来航という近代日本始まりの一大事件を経験した下田。この地域を含む伊豆国(いずのくに)は明治時代、静岡県に合併されましたが、この地域でも明治政府の税制の大改革「地租改正」が行われました。

地租改正とは収穫量を基に算定された地価を課税対象とし、地価の3%を土地の所有者が金納するというものです。当初、地租改正の作業は農民側と行政側が協力して行っていましたが、明治政府は方針を転換し、全国の地価・地租を先に決定。農民たちは到底納得できませんでした。

農民側の総代の一人が、豪農でまだ30代前半の依田佐二平(よだ さじべい)でした。佐二平は静岡県令宛に請願書を作成。政府の決定に対し、粘り強く交渉します。その結果、政府は譲歩せざるを得なくなったのです。

巨大な新政府に対して理をもって減税を勝ち取ったという大きな政治体験は、その後、佐二平やその仲間を中心とするこの地域での自由民権運動につながっていきます。

参同社という演説結社が結成され、佐二平も参加。静岡県各地で活動が広がっていきます。そして国会開設を求める署名活動が静岡県全体で行われ、憲法制定、国会開設を要求する建白書が元老院に提出されることとなったのです。

自由民権運動、教育、産業振興。あらゆる分野で地域のために尽くした依田佐二平。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

自由民権運動の壮士たち 第13回【前編】『伊豆を中央から遅らせるな』と地域のために力を尽くした男 依田佐二平(静岡県)