自由市場でビジネスとして成立しない発電方法に要注意!
木質バイオマス発電 [1]、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギー発電・・・これらの発電方法は一見環境に優しいように見えます。しかしながら、これらの発電方法は大きな欠陥を抱えています。これらの方法で電気を起こせば起こすほど、エネルギーの無駄使いであるとともに、我々国民の私有財産が奪われているのです。
残念ながら、現状では、バイオマス発電も、自然エネルギー発電も、政府の補助金なしでは自由市場を生き抜けない未成熟な技術です。言い換えると、本来はビジネスとして成立しない、採算の合わない発電方法です。
ここでいう補助金とは、経済産業省管轄の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度) [2]」です。
この制度の下、再生可能エネルギーと呼ばれる発電方法が細かく場合分けされています。そして、場合ごとに電気の買取価格が決められ、電力会社はその価格で電気を買い取ることを強制されています[2, 3]。ややリバ的に絶対に許せない制度です。れっきとした価格統制です。
また、この買取りのための資金の一部は電気を使用している国民から強制的に徴収されています。再生エネルギー賦課金(再エネ賦課金)です [2]。再エネ賦課金がいくら徴収されているかは、毎月送られてくる「電気使用量のお知らせ」で確認することができます。約10%は徴収されているのではないでしょうか?
ここで、特に酷い状況にあるバイオマス発電に話を絞りましょう。なんと、FIT制度の認定を受けた発電所の8割以上が稼働していないのです [4]。
バイオマス発電はなぜこれほどまでに採算が合わないのでしょう?様々な理由がありますが、私は発電効率がたったの20%程度である点が非常に大きいと考えます。これは、石炭火力やガスタービンなどの化石燃料火力発電の2分の1、最新の火力発電方式であるコンバイドサイクル発電の3分の1の効率です。したがって、現状のバイオマス発電は、環境にも、お財布にも悪い発電方法と言わざるを得ません。
確かに、バイオマス発電を普及させたいモチベーションは素晴らしいものです。間伐材を有効利用したい、地方の経済を活性化したい、山林を維持・管理したい・・・私も同じ気持ちです。出身が地方の山里ですので。
しかしながら、それらを実現させる方法が、なぜ採算の合わない発電方法に血税(再エネ賦課金)を投入することなのでしょうか?
バイオマス発電をすればするほど、その損失を補うために我々の私有財産から再エネ賦課金が徴収されます。
また、我々国民の私有財産は、主に採算の合う発電方法(化石燃料火力発電、原子力発電、および水力発電)を用いて生み出されたものです。したがって、バイオマス発電は、これらの発電方法に「寄生」していると言えるでしょう。
特に、現在の日本は化石燃料火力に依存していますから、バイオマス発電事業を支えるために、本来燃やさなくても良い化石燃料をわざわざ燃やしていることになります。
このように、自由市場を生き抜けない未成熟な発電方法を税金(再エネ賦課金)で支え続けるなど、ややリバ的に許せないことですし、何より環境にも、我々のお財布にも悪いことです。いやはや、政府により自由市場が歪められると、ろくなことがないですね。
皆さんはどう思われますか?
【参考文献】
[1] 電気の比較インズウェブ! バイオマス発電の仕組みと課題 https://denki.insweb.co.jp/biomass-power-generation.html [2] 経済産業省 資源エネルギー庁 固定価格買取制度 制度の概要 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html [3] 経済産業省 FIT制度における2020年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200323005/20200323005.html [4] 日本経済新聞 バイオマス発電8割動かず 林業人手不足、燃料輸入頼み https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38774900R11C18A2000000/